スポーツをしている子どもや若い世代に多く見られる「離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)」。聞き慣れない名前かもしれませんが、早期発見・早期治療がとても大切な疾患です。
今回は、離断性骨軟骨炎について、わかりやすく解説していきます。
離断性骨軟骨炎とは?
離断性骨軟骨炎(Osteochondritis Dissecans)は、関節内の骨とその表面を覆う軟骨の一部が血流不足などの原因により壊死し、最終的に剥がれ落ちてしまう病気です。
特に膝関節に多く発症しますが、肘や足首などにも起こることがあります。
主な原因は?
明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、次のような要因が関与していると考えられています:
- スポーツによる繰り返しの負荷(オーバーユース)
- 軽い外傷の蓄積
- 遺伝的要素や成長期の血行障害
特に成長期の10〜15歳くらいのスポーツをしている子どもに多く見られるため、注意が必要です。
症状は?
初期には無症状のこともありますが、進行すると以下のような症状が見られることがあります:
- 膝の痛み(運動時や階段の昇降時に悪化)
- 関節の腫れ
- 引っかかり感(ロッキング)
- 関節の可動域制限や不安定感
診断方法
診察に加えて、以下のような検査が行われます:
- X線検査:骨の変化を確認
- MRI検査:軟骨や骨の状態、血流の有無を詳しくチェック
- 関節鏡検査(必要な場合):実際に関節内をカメラで観察
治療方法は?
離断性骨軟骨炎は、進行度に応じて治療法が異なります。
保存療法(初期段階)
- 運動制限(スポーツの中止)
- 装具による固定
- 定期的な経過観察(画像診断)
子どもの場合、自然治癒するケースも多くあります。
手術療法(進行期・剥離あり)
- 剥がれかけた骨軟骨を固定
- 欠損部に骨や軟骨を移植
- 関節鏡下での処置(低侵襲手術)
予防のために大切なこと
- 成長期の子どもには過度なトレーニングを避けることが大切です。
- 膝や関節に痛みが出たら早めに整形外科を受診しましょう。
- スポーツ中の正しいフォームや柔軟性を保つストレッチも効果的です。
まとめ
離断性骨軟骨炎は、放置すると関節の将来的な障害につながることもあるため、早期の発見と適切な治療がカギとなります。
「少し痛むだけだから…」と軽く考えず、症状が続く場合は一度専門医に相談してみてくださいね。
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