股関節の痛みは、日常生活に大きな支障をきたす症状のひとつです。立ち上がる時、歩くとき、階段の上り下りなど、何気ない動作で痛みを感じると、それだけでストレスになりますよね。
本記事では、股関節の痛みの原因・症状・診断・治療法・予防策まで、徹底的に解説します。病院に行く前の参考にもなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
股関節ってどんな関節?
股関節は、「骨盤」と「大腿骨(太ももの骨)」が連結する場所で、人体の中で最も大きく、かつ深くはまり込む関節です。関節は球関節と呼ばれる構造で、前後・左右・回旋といった多方向への動きを可能にしています。
そのため、股関節に障害が起きると歩行や姿勢維持など、日常生活のあらゆる動作に影響を及ぼします。
股関節の痛みの主な原因
股関節の痛みは、次のような要因によって引き起こされます。
・加齢による変性(変形性股関節症)
関節軟骨がすり減ることで炎症や骨の変形を起こし、痛みが発生します。
・外傷(骨折、脱臼)
特に高齢者では転倒による大腿骨頸部骨折が多く、激痛を伴います。
・関節唇損傷
スポーツや繰り返しの動作で股関節の「関節唇」が損傷し、鋭い痛みが起こります。
・先天性股関節脱臼や発育不全
出生時や幼少期の発育異常が原因で、成人後に症状が現れることもあります。
・股関節周囲の筋肉・靱帯の炎症
腸腰筋や中臀筋などが炎症を起こすと、動作に合わせて痛みが出現します。
・坐骨神経痛・腰椎疾患の関連痛
実際には腰や骨盤由来の痛みが、股関節周囲に放散していることもあります。
よくある股関節疾患とその特徴
◯ 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
中年~高齢の女性に多く、軟骨のすり減りによって関節が変形し、痛みや可動域制限が進行します。初期は立ち上がりや歩き始めに痛みを感じ、進行すると安静時にも痛みが出るようになります。
◯ 大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)
血流障害により大腿骨の骨頭が壊死してしまう病気で、原因はステロイド薬やアルコール多飲、特発性(原因不明)など様々。突然の強い痛みが特徴です。
◯ 関節唇損傷(かんせつしんそんしょう)
股関節の縁にある軟骨(関節唇)がスポーツや外傷などで損傷し、クリック音や鋭い痛み、違和感が生じます。
◯ 大腿骨頸部骨折
高齢者に多く、転倒などで骨折。即時に強い痛みと歩行困難が起こり、緊急の手術を要します。
病院での検査・診断方法
股関節の痛みが続く場合は整形外科を受診しましょう。以下のような検査が行われます。
- X線(レントゲン)検査:骨の状態、関節の隙間、変形の有無を確認
- MRI検査:軟骨・関節唇・筋肉などの軟部組織を見る
- CT検査:より詳しい骨の状態や骨折の有無をチェック
- 血液検査:感染症やリウマチ性疾患の可能性を探る
また、医師による触診や徒手検査(動かしながら痛みの出る方向を確認するテスト)も重要な診断材料です。
治療方法:保存療法と手術療法
● 保存療法(手術しない治療)
- 内服薬(鎮痛剤・抗炎症薬)
- リハビリテーション(ストレッチ・筋トレ)
- 装具療法(股関節サポーターや杖の使用)
- 注射治療(関節内ヒアルロン酸、ステロイドなど)
初期の股関節痛や、進行の遅い変形性股関節症では、保存的な治療で症状のコントロールが可能です。
● 手術療法
症状が進行して日常生活に大きな支障が出る場合、手術が検討されます。
- 人工股関節置換術(THA):変形性股関節症や壊死で広く行われる手術
- 関節鏡視下手術:関節唇損傷や滑膜炎の治療
- 骨切り術:若年層での変形性股関節症に用いられる
手術の選択は年齢や活動性、症状の程度などによって判断されます。
自宅でできるリハビリ・ストレッチ
日常的な運動療法は、股関節の負担を軽減し、痛みの改善につながります。
▼ おすすめの股関節ストレッチ
- 腸腰筋ストレッチ
- 大腿四頭筋ストレッチ
- 股関節周囲筋の強化運動


上記の二つは座ってできるのでお勧めです。
※ただし、痛みが強いときは無理せず、必ず専門家の指導を受けましょう。
痛みを予防するためにできること
股関節の痛みを予防するには、日常生活で以下のことを意識しましょう。
- 正しい姿勢を保つ
- 体重を増やしすぎない(関節の負担を減らす)
- 股関節を冷やさない(血流を保つ)
- 適度なストレッチと筋トレを継続する
- ハイヒールや不安定な靴を避ける
- 股関節周囲の筋肉を付ける
まとめ
股関節の痛みは、「歳だから仕方ない」と放置してしまいがちですが、早期の対応によって進行を防ぐことが可能です。特に、変形性股関節症や関節唇損傷などは初期の対処が鍵になります。
痛みが続く場合は我慢せず、整形外科に相談することをおすすめします。そして、適切な治療と運動習慣で、痛みのない生活を取り戻しましょう。
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