2025年6月、ロサンゼルス・ドジャースの主砲マックス・マンシーは、驚異的な打撃成績でファンと関係者を驚かせていました。春先の不振から一転、長打と選球眼を兼ね備えた彼らしいスタッツを叩き出し、チームの上昇気流を牽引していたのです。しかし、その矢先に報じられた「骨挫傷(Bone bruise)」という怪我。日本ではあまり馴染みのないこの症状ですが、実はアスリートにとって非常に厄介な負傷のひとつです。
今回は、マックス・マンシーの6月の活躍を振り返りつつ、彼を突如襲った「骨挫傷」とは何なのか、そして今後の影響について深掘りしていきます。
マックス・マンシー、6月の復調劇
シーズン序盤の不振
マンシーは開幕からしばらく、バットが湿っていました。特に4月~5月中旬にかけては打率.180台に沈み、三振も多く、守備でも精彩を欠く場面が目立っていました。ここ数年の「三振かホームランか」という打撃スタイルが裏目に出ていた印象です。
6月の爆発:OPS1.000超え
しかし6月に入ってからはまるで別人のような活躍を見せます。打率.333、本塁打7本、24打点と文句なしの成績。特にカウントが深くなるほど粘りを見せ、四球も増加。チームの勝利に直結するバッティングを連発しました。
アプローチにも変化が見られ、追い込まれてから無理に引っ張らず、センターから逆方向への打球が増加。守備面でも三塁と一塁を安定してこなし、攻守両面で「勝てる選手」ぶりを取り戻していたのです。
カーショウ3000奪三振の直前に襲った悲劇
誰もがカーショウ3000奪三振を見ようと球場全体がワクワクしていた矢先に起こった悲劇。
三塁へ盗塁したランナーと交錯し、一人で起き上がることもできず交代となりました。

長年共にドジャースの一員として戦ってきた、カーショウの3000奪三振という大記録達成。一番思いが強かったかもしれないマンシーにとっては、直接お祝い出来ないことが、怪我よりも悲しいことだったかもしれません。
骨挫傷(Bone Bruise)とは?
骨挫傷とは、骨に直接の骨折はないものの、骨の内部に小さな出血や浮腫(むくみ)が生じた状態です。一般的にはMRIでしか判別できないため、レントゲンでは「異常なし」と診断されがちですが、実際には骨の内部が傷んでいます。
たとえば転倒や接触プレー、強い衝撃によって生じることが多く、以下のような特徴があります:
- 骨折ほどではないが、かなりの痛みを伴う
- 炎症が周辺組織に波及し、動作制限が生じる
- 回復までに数週間から数ヶ月かかる場合がある
関節部(膝、足首、股関節)や脊柱(腰)に起きやすいです。
野球選手にとっての骨挫傷のリスク
今回は直接外傷によるものでしたが、野球のような回旋動作・踏み込み動作が頻繁に求められる競技では、骨挫傷はとても厄介です。
- スイング時の踏み込みや腰の回旋に強い痛み
- 守備での素早い動作に支障
- 完治前に復帰すると再発や慢性化のリスク
したがって、たとえ軽度であっても慎重な治療とリハビリが不可欠です。
復帰までの道のりと今後への影響
治療とリハビリ
今回発表されたのは最低でも6週間。絶好調だったために、余計に悲しい出来事となってしまいました。
骨挫傷の治療は、原則として保存療法です。患部を安静にし、炎症が収まるのを待ちます。MRIで回復の度合いを確認しながら、次第に可動域トレーニング、荷重トレーニング、スポーツ動作へと段階的に進みます。
- 第1段階(1〜2週):安静+アイシング+鎮痛
- 第2段階(2〜4週):ストレッチや荷重調整
- 第3段階(4週〜):可動域・筋力の再構築、スイング練習など
無理をすると再発や隣接関節への負担増となるため、焦りは禁物です。
チームに与える影響

マンシーの離脱は、ドジャースにとって地味に痛手です。若手が台頭しているとはいえ、勝負強さと選球眼を兼ね備えた彼の存在は中軸に不可欠。特にポストシーズンを見据えると、ベテランの経験値は代えがたいものがあります。
最低でも6週間と言われているため、復帰は早くて8月頃になるでしょう。もし長引いた場合はポストシーズンまでもつれるかもしれません。ポストシーズンにマンシー不在は大きな痛手となります。
骨挫傷は「見えない骨折」
骨挫傷は一般的なファンから見れば、「骨折してないなら大したことない」と思われがちです。しかし実際には、MRIでしか分からない「内部骨折」のような状態で、痛みも回復期間も軽視できません。
また、スポーツ選手にとっては精神的な負担も大きく、痛みを押してプレーすればフォームの乱れや別部位の故障に繋がるリスクもあるため、慎重に判断される必要があります。
結び:復帰後のマンシーに期待!

6月のような爆発力を取り戻したマックス・マンシーは、ドジャースにとって大きな武器です。その直後に襲った骨挫傷という不運ではありますが、これは彼の身体が限界信号を出したサインとも言えるでしょう。
大切なのは「急がば回れ」。しっかりと治療し、再びフィールドに立った時には、より強くなったマンシーの姿を見られるはずです。
そして私たちファンは、マンシーの豪快なホームランと勝負強い選球眼を、再びスタジアムで見られる日を、ただ静かに待つだけです。
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