〜症状・原因・治療法まで徹底解説〜
はじめに
「朝、指がこわばって動かしにくい」「関節が腫れて痛む」「疲れやすくなった」――こうした症状を感じたことはありませんか?それはもしかしたら関節リウマチかもしれません。
関節リウマチは、手足の関節を中心に痛みや腫れを引き起こす自己免疫疾患です。特に30代〜50代の女性に多く、早期の診断と治療が非常に重要です。
この記事では、関節リウマチの原因、症状、診断、治療法、日常生活での注意点などを総合的に解説していきます。
関節リウマチとは?
関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:RA)は、自己免疫疾患の一種です。本来、外敵である細菌やウイルスを攻撃する免疫機能が、誤って自分自身の関節を攻撃してしまう病気です。
特に**滑膜(かつまく)**という関節を包む組織に炎症が起こり、関節の腫れ・痛みを引き起こします。放置しておくと関節の変形や破壊が進み、日常生活に支障をきたすこともあります。
関節リウマチの特徴
● 好発年齢と性別
- 男女比:約1:4(女性に多い)
- 好発年齢:30〜50歳代が中心
※高齢発症(70歳以降)も増加傾向
● 多発性関節炎
RAの最大の特徴は、左右対称に複数の関節に炎症が出ることです。特に指の関節(PIP関節・MCP関節)、手首、足の指などに症状が出やすいです。
● 慢性化する炎症
一過性の炎症ではなく、長期にわたって続くのも特徴です。治療しないと関節の骨や軟骨が徐々に破壊されていきます。
症状のサインとは?
関節リウマチの初期症状は、以下のような日常的な違和感から始まることが多いです。
【主な症状】
- 朝のこわばり(モーニングスティフネス)
- 朝起きてから30分以上、関節が動かしにくい
- 関節の腫れや痛み
- 手指・手首・足の関節が左右対称に腫れる
- 関節の熱感・圧痛
- 触れると痛みがあり、熱を持つ
- 疲労感や微熱
- 全身的な倦怠感や37℃台の微熱が続く
- 食欲低下・体重減少
【進行すると…】
- 関節が変形して日常動作に支障
- 筋力の低下・筋萎縮
- 肺や心臓、皮膚、血管など全身に炎症が及ぶことも
原因は何か?
関節リウマチの正確な原因は不明ですが、以下のような因子が関係するとされています。
● 遺伝的要因(体質)
- HLA-DR4など、特定の遺伝子を持つ人は発症しやすいとされます。
● 環境要因
- 喫煙
- 感染症(細菌・ウイルス)
- 出産やホルモンバランスの変化
- ストレス
● 自己免疫異常
自分の免疫細胞が誤って自分の組織を攻撃することで、慢性的な炎症が起こります。
診断はどうやって行う?
関節リウマチは、早期診断が非常に重要です。医療機関では以下のような方法で診断します。
【問診・診察】
- 症状の出現時期
- どの関節に痛みや腫れがあるか
- 朝のこわばりの有無
【血液検査】
- CRP・ESR(炎症の程度)
- RF(リウマトイド因子)
- 抗CCP抗体(関節リウマチに特異的な抗体)
- 貧血や肝機能などのチェック
【画像検査】
- X線:関節の骨の破壊や変形の有無
- エコー検査:滑膜の炎症をリアルタイムに確認
- MRI:より詳細な関節内の変化を確認
どうやって治療する?
● 薬物療法(基本治療)
関節リウマチの治療は薬物療法が中心で、以下の薬剤を組み合わせて使います。
メトトレキサート(MTX)
- 第一選択薬
- 炎症を抑え、進行を防ぐ
- 週1回の服用
生物学的製剤(バイオ製剤)
- 免疫の特定の経路を抑える薬(点滴または皮下注射)
- TNF阻害薬、IL-6阻害薬など
- 効果は高いが費用が高額(公的補助あり)
JAK阻害薬(内服)
- 新しい内服薬
- 免疫反応の「司令塔」を抑える作用
NSAIDs(消炎鎮痛薬)
- 痛みを緩和する目的(病気の進行は止めない)
ステロイド(副腎皮質ホルモン)
- 炎症が強い時に短期的に使用
● リハビリテーション(運動療法)
- 関節の可動域を保つ運動
- 筋力維持・関節保護を目的としたトレーニング
- 理学療法士による個別リハビリ
● 手術療法(進行した場合)
- 関節が変形し、機能障害が大きい場合は手術も検討されます。
- 滑膜切除術
- 関節形成術
- 関節置換術(人工関節)
関節リウマチと付き合っていくには
RAは完治が難しい疾患ではありますが、早期診断・早期治療を行えば、関節破壊を防ぎながら長く健康な生活を送ることができます。
● 日常生活での注意点
- 無理な関節運動を避ける
- 冷え・過労を避ける
- 食生活の見直し(抗炎症食、栄養バランス)
- ストレスコントロール
● 食事と栄養
- 抗炎症作用のある食品:青魚(EPA・DHA)、オリーブオイル、野菜、果物
- ビタミンD・カルシウム:骨を守るために重要
- 加工食品・糖分・揚げ物は控えめに
まとめ:RAは「早期発見・継続治療」がカギ
関節リウマチは、かつては「寝たきりになる病気」と言われていた時代もありました。しかし、現代では治療法が飛躍的に進化し、発症初期から適切な治療を受けることで、関節の破壊を防ぎながら生活の質(QOL)を保つことが可能になりました。
「最近、手がこわばるな…」「関節が痛むけど年のせいかも?」と感じている方は、自己判断せず、早めに専門医の診察を受けてください。関節を守る一歩は、気づきから始まります。
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