​【保存版】「人生最悪の頭痛」は危険信号!クモ膜下出血の基礎知識と対処法

命に関わる緊急性の高い病気、「クモ膜下出血」。

名前は聞いたことがあっても、具体的に何が起きるのか、どんな前兆があるのか詳しく知らないという方は多いかもしれません。

​今回は、**「突然襲う激しい頭痛」**という最大の特徴を中心に、クモ膜下出血の基礎知識、原因、そして命を守るための行動について、分かりやすく解説します。

​クモ膜下出血とは?

​私たちの脳は、頭蓋骨の下で3枚の膜(硬膜・クモ膜・軟膜)によって守られています。

「クモ膜下出血」とは、このうちの2番目にある**「クモ膜」と脳の表面(軟膜)の間にある空間(クモ膜下腔)で出血が起きる病気**です。

​この空間は通常、脳脊髄液という液体で満たされていますが、ここに出血が広がると脳全体が強い圧迫を受け、致命的なダメージを与えます。

ポイント

  • ​脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)の一つです。
  • ​発症すると約3分の1の方が亡くなり、約3分の1の方に後遺症が残り、社会復帰できるのは残りの約3分の1と言われるほど、非常に重篤な病気です。

​絶対に見逃してはいけない「症状」

​クモ膜下出血の症状は、ある瞬間、突然起こります。

「いつ」「どこで」「何をしていた時」に頭痛が始まったか、はっきり言えるのが特徴です。

​代表的な症状

  • ハンマーで殴られたような、突然の激しい頭痛(「人生最悪の頭痛」と表現されます)
  • ​吐き気、嘔吐
  • ​意識が遠のく、意識消失
  • ​首の後ろが硬くなる(項部硬直)

​注意!「前兆」がある場合も

​大きな発作が起きる数日前〜数週間前に、**「警告頭痛(先行頭痛)」**と呼ばれる、いつもとは違う頭痛を感じることがあります。これは、動脈瘤からわずかに出血(マイナーリーク)しているサインの可能性があります。

  • ​「いつもと違う違和感のある頭痛がする」
  • ​「目の奥が痛む」
  • ​「物が二重に見える(動眼神経麻痺)」

​このような症状がある場合は、我慢せずに脳神経外科を受診することが重要です。

​なぜ起きるの?主な原因

​クモ膜下出血の原因の**約80%以上は「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂」**です。

  • 脳動脈瘤とは? 脳の血管の分岐部にできる「コブ」のことです。このコブが風船のように膨らみ、血圧の変化などに耐えきれずに破裂することで出血します。

​その他の原因としては、脳動静脈奇形(AVM)や頭部の外傷などがあります。

​リスクを高める危険因子

​どのような人がなりやすいのでしょうか?以下の要因がリスクを高めると言われています。

危険因子解説
高血圧最大のリスク要因です。血管に常に高い圧力がかかるとコブができやすくなります。
喫煙タバコは血管を収縮させ、脆くします。喫煙者は非喫煙者よりリスクが数倍高いとされています。
過度な飲酒大量のアルコール摂取もリスクを高めます。
家族歴親や兄弟にクモ膜下出血(または脳動脈瘤)の既往がある場合、リスクが高くなる傾向があります。

診断と治療方法

​病院に到着すると、すぐにCT検査が行われ、出血の有無を確認します。出血が確認された場合、再出血を防ぐための緊急手術が必要です。

​主に以下の2つの手術方法から、患者さんの状態やコブの位置に合わせて選択されます。

  1. 開頭クリッピング術
    • ​頭蓋骨を開け、直接動脈瘤の根元を金属のクリップで挟んで血流を止めます。
    • ​歴史が長く、確実性が高い方法です。
  2. 血管内コイル塞栓術
    • ​足の付け根などの血管からカテーテルを通し、動脈瘤の中にプラチナ製のコイルを詰めて塞ぎます。
    • ​頭を切らないため、体への負担が比較的少ない方法です。

​6. 私たちができる予防と対策

​クモ膜下出血を予防するためには、**「脳動脈瘤を作らない・破裂させない」**ことが大切です。

  • 血圧の管理: 塩分を控え、バランスの良い食事を心がけましょう。
  • 禁煙: 血管を守るために今日からできる最大の防御策です。
  • 脳ドックの受診: 未破裂脳動脈瘤はMRI(MRA)検査で見つけることができます。特に家族歴がある方や40歳以上の方は、一度検査を受けることをお勧めします。

​まとめ:迷わず救急車を!

​もし、あなたやあなたの周りの人が**「バットで殴られたような突然の頭痛」**に襲われたら、様子を見てはいけません。

​鎮痛剤で治まるのを待ったり、自分で車を運転して病院へ行こうとしたりせず、すぐに救急車(119番)を呼んでください。

発症から治療開始までの早さが、その後の人生を大きく左右します。

​この知識が、あなたとあなたの大切な人の命を守るきっかけになれば幸いです。

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