「球速をあと5km/h上げたい」「どうしても140km/hの壁が越えられない」
ピッチャーなら誰もが抱く夢、それが“速い球を投げること”です。
しかし、ただがむしゃらに投げ込んだり、筋トレだけをしていても球速は頭打ちになります。実は、速い球を投げるには**「体の使い方」と「正しい技術」、そして「効率の良いトレーニング」**が必要不可欠です。
この記事では、球速を上げるための身体的・技術的・精神的な要素を徹底解説します。
速い球を投げるために必要な5つの要素
まず、球速アップに必要な基本的な要素を整理してみましょう。
要素 | 内容 |
---|---|
① 体幹と下半身の強さ | パワーの源は下半身と体幹 |
② 投球フォームの効率 | 運動連鎖を最大限に生かす |
③ 柔軟性と可動域 | 大きくしなやかに使えるか |
④ リリースの速さと角度 | ボールを“指先”で加速できているか |
⑤ 精神的な集中力と勇気 | ストライクゾーンに力強く投げ込めるか |
速い球を投げるには、**「力」+「技術」+「感覚」**の総合力が求められます。
球速はどうやって生まれるのか?メカニズムを理解しよう
速い球を投げるためには、まずそのメカニズム=「ボールが加速する仕組み」を理解する必要があります。
● 運動連鎖(キネティックチェーン)とは?
投球は、地面から得た反力を下半身→体幹→肩→肘→手首→指先と、順に伝えていく動作です。これを「運動連鎖」と言います。
大谷選手がメディシンボールを投げてましたが、あれは全身を大きく連動させて力を生み出す練習です。
一部でもうまく連動しなければ、ボールに力が伝わらず球速が落ちます。
● 地面反力を活かす
体を地面に押しつけることで、その反動(反力)を得ます。このエネルギーを「前へ、上へ、速く」伝えることで球速が生まれます。
● 回旋力と肩・肘の加速
体幹の回旋(ひねり)と肩・肘のしなり戻しによって、リリース前に最大速度が出ます。これは回旋トルクの瞬間的な開放です。
球速を上げるための投球フォームのポイント
投球フォームは、ただ「腕を速く振ればいい」わけではありません。全身を連動させた理想的なフォームが球速アップの鍵です。
● フォームの基本構成(段階別)
- 立ち上がり(ワインドアップ) → バランスよく軸足に体重を乗せる
- テイクバック → 肘が下がらず、肩甲骨を寄せるように引く
- ステップ〜回転動作 → 踏み込み足でしっかり地面を捉え、骨盤を先行回旋
- リリース → 前腕の外旋・内旋を活かし、指先で押し出す感覚
- フォロースルー → 勢いを殺さず、最後まで前方へ体重を乗せる
● 注意すべきフォームのNG例
- 肘が下がる(インピンジメントのリスク)
- 踏み出し足のブレーキが効いていない
- 体幹が早く開いてしまう(力が逃げる)
球速アップのための筋力トレーニング
筋トレは必須ですが、「闇雲に鍛える」のではなく「使える筋肉」を育てる必要があります。
● 鍛えるべき筋肉
部位 | 鍛える理由 |
---|---|
下半身(大腿四頭筋・ハムストリングス・殿筋) | 地面反力の出力源 |
体幹(腹斜筋・腹横筋・脊柱起立筋) | 回旋の安定とパワーの伝達 |
肩甲帯(僧帽筋・前鋸筋・広背筋) | 肩の安定と腕の振りを支える |
上腕三頭筋・前腕筋群 | リリース時の加速とコントロール力 |
● 具体的なトレーニング例
- ブルガリアンスクワット(下半身)
- プランクツイスト(体幹)
- チンニング(広背筋)
- チューブトレーニング(肩・前腕)
※ 高校生以下は体幹中心、ウェイトは慎重に。
可動域と柔軟性の重要性
力があっても、肩・股関節の可動域が狭ければ最大限のパフォーマンスは発揮できません。大谷翔平選手は肩の可動域が尋常じゃないくらいあります。
また、チャップマンもサムネイル画像の用にかなり身体がしなっているのが分かります。

● 柔軟性が影響する理由
- 大きな可動域 → 大きな加速距離
- しなりが作れる → 肘や肩のしなり戻しで球速アップ
● ストレッチの例
- 肩関節の内外旋ストレッチ
- 股関節の開閉運動(ワイドスクワット)
- 胸椎回旋ストレッチ(キャット&ドッグ+ツイスト)
投球前後の「動的ストレッチ」と「静的ストレッチ」のバランスが大切です。
リリースの感覚と指先のスピードを磨く
最後の「指先の感覚」も球速に大きく影響します。回転数や回転軸もここで決まります。
● 指先感覚を鍛える練習法
- テニスボール投げ(軽くて速く動かせる)
- 小さめのボールで指先リリース練習
- チューブで指を開くトレーニング(指の力)
食事・回復・メンタルも見逃せない
球速アップには**「成長」**も必要不可欠。体を大きくし、回復させ、継続的な努力を支えるための要素です。
● 食事
- タンパク質(鶏肉・魚・卵・大豆)
- 炭水化物(ご飯・パン・果物)
- ビタミン・ミネラル(野菜・きのこ類)
※練習後30分以内の補食が理想
● 睡眠と休息
- 成長ホルモンの分泌には「熟睡」が不可欠
- 7時間以上+昼寝(15分)の習慣を
● メンタル
- 「速く投げたい」という意欲が技術を進化させる
- イメージトレーニングで脳からフォームを改善する
年代・レベル別アプローチ
● 小学生〜中学生
- 柔軟性とフォーム重視。無理な筋トレは不要。
- 下半身と体幹のバランスを養う。
● 高校生〜大学生
- 筋力+技術を両立させ、可動域を維持しながら鍛える。
- 球速アップと同時にケガ予防を。
● 社会人・プロ
- 高強度なトレーニング+投球フォームの微調整
- 可動域やリカバリーの徹底管理
よくある質問(Q&A)
Q. 急に球速が落ちたのはなぜ?
→ 肩の疲労、フォームの乱れ、可動域低下が考えられます。無理せず休息・チェックを。
Q. 速い球を投げるとコントロールが悪くなる?
→ 運動連鎖が乱れている証拠。力任せに投げるのではなく、**「リズムとタイミング」**が鍵です。
まとめ:速い球は“才能”ではなく“作れる力”
速い球を投げるために必要なことは、**才能よりも「知識と実践の積み重ね」**です。
フォーム、筋力、可動域、指先感覚、そしてメンタル…
そのどれもが「速い球」を支える大切な要素です。
地道な努力を続ければ、確実に球速は伸びます。自分に合った練習法を見つけ、日々進化していきましょう!
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