MLBシカゴ・カブスの若き外野手、ピート・クロウ=アームストロング(Pete Crow-Armstrong)。その名前の印象とは裏腹に、彼は「小さくて細身」な体格ながら、驚くほどのパワーと爆発力を誇ります。打球速度や飛距離、そして守備でのスピード感ある動きに、多くのファンが驚かされていることでしょう。
なぜ、あの体格であそこまでのパワーを発揮できるのか?今回は、スポーツ科学や野球の動作解析の観点から、ピーター・クロウ=アームストロングの「パワーの秘密」を徹底解剖します!
プロフィールから見る「細身」の印象
まず、彼のプロフィールを見てみましょう。
- 名前:ピート・クロウ=アームストロング(Pete Crow-Armstrong)
- 身長:約185cm
- 体重:約84kg
- ポジション:外野手(主にセンター)
- 打/投:左打ち/右投げ
- 所属:シカゴ・カブス
数字だけ見ると、身長は比較的高めですが、MLBのパワーヒッターとしては軽量級です。例えば、アーロン・ジャッジ(約200cm・128kg)やショーヘイ・オオタニ(約193cm・95kg)と比べると、線の細さが際立ちます。これで小さく見えてしまう、MLBは異常ですね(笑)
しかし彼の打球は
110マイル(約177km/h)超のスピードを記録し、スタンドインするホームランも増加中。このギャップこそが、彼の魅力です。
【理由①】「地面反力」を活かしたスイングフォーム
クロウ=アームストロングは、下半身の使い方が非常に巧みです。特に注目すべきは、スイング時に地面を蹴って力を生み出す「地面反力」の使い方です。
◆ 地面反力とは?
地面を強く蹴ることで、地面からの反発力を体に伝え、それをスイングパワーに転換する技術です。細身の選手でもこれを最大限活かせば、大きな打球を飛ばすことができます。
◆ クロウ=アームストロングの動作特徴
- 打席での膝の屈伸が深く、踏み込みも鋭い
- ステップ後、骨盤の回転速度が非常に速い
- 上半身と下半身がタイミングよく連動している
この動作により、体全体のバネを活かした強いスイングが可能になるのです。単なる腕力だけでなく、**全身の連動が生み出す“爆発力”**を持っているのがポイントです。
【理由②】「コア(体幹)」の強さが異常レベル
クロウ=アームストロングは、
体幹が異常なほど安定していると評価されています。
体幹の強さは、バッティングだけでなく守備や走塁にも直結する能力です。特にバッティングでは以下の点に効果があります:
- スイング中の軸ブレを抑える
- バットのヘッドスピードを上げる
- 体の中心から「捻り」のエネルギーを出せる
彼のような体格の選手がフライをスタンドまで運べるのは、まさに軸のブレない「体幹スイング」の力と言えるでしょう。
【理由③】回旋スピードと“スイング効率”が異常に高い
細身の選手でもホームランが打てる最大の要因は「回転スピード」です。
◆ スイング速度=「回転力」×「バットの軌道」
ピーター・クロウ=アームストロングのバッティング映像を解析すると、以下の特徴があります:
- 骨盤から胸郭、肩、腕と連鎖する動きが非常にスムーズ
- バットの軌道が短く鋭く、最短距離で出ている
- ミート時に最大速度に達している
これはまさに、スイング効率の鬼とも言える技術です。
細身でも回転力をうまく伝えれば、重いバットでもスムーズに振り抜け、爆発的な打球を生み出せるのです。
【理由④】柔軟性と股関節の可動域
クロウ=アームストロングのフォームを見て「しなやか」だと感じる方も多いのではないでしょうか?実は彼の柔軟性、特に
股関節と胸椎の可動域の広さが、スイングパワーの秘密でもあります。大谷選手の記事でも書きましたが、可動域というのはとてつもないパワーを生み出します。
◆ 柔軟性がもたらすメリット
- バックスイング時に**大きな捻転差(肩と骨盤の差)**を生み出せる
- トルク(ねじれエネルギー)を長時間ためて一気に解放できる
- 体のバネが活きた伸びやかなフォームになる
つまり、筋肉の大きさではなく、「どれだけ効率よく力をため、解放できるか」が、細身の選手がパワーを出すカギなのです。
【理由⑤】メンタルの強さとプレースタイル
技術や身体能力もさることながら、クロウ=アームストロングはメンタルの強さと勝負強さも光ります。
彼は高校時代から注目され、ドラフト1巡目でプロ入り。その後も大きなプレッシャーの中で結果を出し続けています。細身の体で一線級のピッチャーと勝負するには、自信・集中力・判断力などメンタル面のタフさも重要です。
そして彼のプレースタイルは常に全力疾走・全力プレー。この「気迫と瞬発力」がスイングにも表れ、打球の質を底上げしていると考えられます。
まとめ:小さくても飛ばせる時代を象徴する存在

ピート・クロウ=アームストロングは、いわゆる「細マッチョ」でありながら、メジャー屈指のエネルギー効率を誇る選手です。体格だけで判断されがちな野球の世界において、彼のような選手は次世代のスター像を体現しています。
現代野球では、筋肉量や体格だけでなく、
- 地面反力
- 回旋スピード
- 体幹と柔軟性
- スイング効率
- メンタルの強さ
といった複合的な要素がパフォーマンスに直結します。デブ=パワーヒッターというのは時代遅れ。まさに、科学とテクニックで生きる選手。それがピーター・クロウ=アームストロングなのです。
今後への期待
彼はまだ若く、成長段階の選手です。これから体に厚みが増してくれば、さらにパワーアップする可能性も十分にあります。
今後、彼が「細身のパワーヒッター」という異色のスタイルでメジャーを席巻する日も近いかもしれません。今後の活躍から目が離せません!
(この記事は野球選手の動作解析とスポーツ科学に基づいて執筆しています)
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