肩や腕のしびれや痛みに悩まされている方、その症状、もしかしたら「QLS症候群」かもしれません。あまり聞き慣れないこの病名ですが、スポーツ選手や日常的に肩をよく使う方に発症しやすい障害の一つです。この記事では、QLS症候群について、原因から治療法までわかりやすく解説します。
QLS症候群とは?
QLS(Quadrilateral Space)症候群とは、肩の後方にある「四辺形間隙(quadrilateral space)」というスペースで、腋窩神経(えきかしんけい)と後上腕回旋動脈が圧迫されることによって起こる障害です。
四辺形間隙ってどこ?
このスペースは、以下の筋肉や骨に囲まれています:
- 上:小円筋(teres minor)
- 下:大円筋(teres major)
- 内側:上腕骨の長頭三頭筋
- 外側:上腕骨の外側(外科頚)
ここを通る腋窩神経は、三角筋や小円筋を支配する重要な神経です。
主な症状
QLS症候群では、以下のような症状が現れることがあります:
- 肩の後ろや外側の鈍い痛み
- 三角筋の筋力低下
- 上腕のしびれや違和感
- 肩を動かすと悪化する不快感
- スポーツ(特に投球動作)で症状が誘発・悪化する
症状は軽いこともあれば、慢性化してパフォーマンスに大きく影響することもあります。
原因は何?
QLS症候群の原因には以下が考えられます:
- 筋肉の肥大(特にアスリートに多い)
- 肩の外傷や手術の後遺症
- 姿勢不良や肩の過使用
- ガングリオンや脂肪腫など、腋窩神経を圧迫する腫瘤
診断方法
診断は問診と理学的検査のほか、以下の検査が行われることがあります:
- MRI:腋窩神経や周囲の構造を評価
- 神経伝導検査・筋電図(EMG):神経の機能を調べる
- 局所麻酔注射による診断的ブロック
治療法
保存療法(手術をしない治療)
- 安静と肩の負荷軽減
- 理学療法(リハビリ):可動域改善や筋バランスの調整
- ストレッチ・姿勢改善
- 痛み止めの薬や注射(ステロイド)
手術療法
保存療法で改善しない場合は、腋窩神経の除圧手術が検討されることもあります。
スポーツ復帰のために
特に野球やバレーボールなど、肩を酷使するスポーツ選手にとって、QLS症候群はパフォーマンスに大きく関わります。早期発見・早期対応がカギです。症状が出たら無理をせず、スポーツドクターや理学療法士に相談することをおすすめします。
まとめ
QLS症候群は、比較的まれですが、肩を多く使う人には見逃せない障害です。違和感を放置せず、適切な診断と治療を受けることで、日常生活やスポーツでの支障を最小限に抑えることができます。
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